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米国株式・債券の価格変動の傾向 "Sell in May"
投資の世界には"Sell in May"と呼ばれる格言があります。 これは5月に売れ、そしてまた秋になったら買え、といったようなことを示唆していると認識しています。 改めて調べてみたところ、元々は"Sell in May and go away, and come on back on St. Leger's Day."という文章だったようです。 www.investopedia.com
目的
過去の価格変動を調査し、「月」によって偏りがあるかを確認する。 またその偏りによってどの程度のパフォーマンスが見込めるかも併せて確認する。
調査条件
- 図を除き計算の対象は2010年1月~2019年12月。
- Yahoo! Financeより取得したETFの月次データのCLOSE値を用いる。
- 計算はすべてドル建て。
- パフォーマンスは (今月CLOSE値+配当) / 前月CLOSE値 から算出。
- 1売買につき、0.45%の取引手数料がかかるものとする。
調査結果
米国株ETF
- SPY: S&P500 (SPDR S&P500 ETF)
- VTI: Vanguard Total Stock Market Index
- VUG: Vanguard Growth ETF
- QQQ: NASDAQ100 (Invesco QQQ Trust Series 1)
SPY, VTI, VUG, QQQは同じような傾向にあり、下記のような結果となりました。 9月末購入、4月末売却が最も効率的であると考えることができます。
単純に持ちっぱなしにしていた場合の年率換算パフォーマンスは SPY 10%、VTI 10%、VUG 12%、QQQ 14% となりますが、 上記期間のみ持つとした場合は SPY 9%、VTI 9%、VUG 9%、QQQ 9% となり、58%の期間で64~90%のパフォーマンスが得られます。
但し、対象期間が米国株式最強期間だったため、QQQはすべての月のパフォーマンスがプラスとなっており、単純に持っているだけでも相当なパフォーマンスを出すことができた。
米国債券ETF
TLT, EDVは同じような傾向にあり、下記のような結果となりました。 なるべく長く持つとする場合は12月末購入、8月末売却が最も効率的であると考えることができます。
単純に持ちっぱなしにしていた場合の年率換算パフォーマンスは TLT 5%、EDV 7% となりますが、 上記期間のみ持つとした場合は 8ヶ月間しか保持していないにも関わらず、 TLT 7%、EDV 10% となり、一年間を通して保持するよりもパフォーマンスが向上する。
金/銀ETF
GLD, IAU,は同じGOLDを扱っているため同じような傾向、SLVは異なる月も多いですが同じような傾向も含まれており、下記のような結果となりました。 長く持つことを諦めて12月末購入、1月末売却と7月末購入、8月末売却が最も効率的であると考えることができます。
単純に持ちっぱなしにしていた場合の年率換算パフォーマンスは GLD 2%、IAU 2%、SLV -1% となりますが、 上記期間のみ持つとした場合は 2ヶ月間しか保持していないにも関わらず、 GLD 5%、IAU 5%、SLV 5% となり、一年間を通して保持するよりもパフォーマンスが向上します。
組み合わせたときの年率パフォーマンス
ローリスク
- VTI+EDV+GLD +22%
- VUG+EDV+GLD +21%
- QQQ+EDV+GLD +23%
ミドルリスク
- VUG+TMF+GLD +28%
ハイリスク
- SPXL+TMF+GLD +52%
- SPXL+TMF +53%
結論
過去のデータの偏りを元に投資を行った場合、非常に高いパフォーマンスが得られるという可能性があるという結果がでた。 しかし、これらはあくまで過去のデータを元にしており、例えば現在進行系のCOVID-19等の影響を受け、 過去のトレンドとは異なる動きが起きる可能性があることも忘れてはいけないと考える。